職長安全衛生教育

ものづくりなどの仕事をする場合、複数人で行うことが多くあります。その際のリーダーを職長と呼びます。会社によっては、班長やリーダーなどほかの名称を使っているかもしれませんが、現場で指導、監督を行う者は職長に該当します。

社長が契約名義人となっていても、実際には社員に現場の作業をさせている場合が多いと思います。その際、「職長」に現場での管理を任せる必要がありますが、何も知識の無い人や管理能力の無い人に任せるのは心許ないです。国民を守る国として、そういう方にいきなり任せることは適切ではないと考えていて、着任時にきちんと教育をすることを法律で定めています。(労働安全衛生法 第60条)

新たに担当する社員から見ても、中には自信満々な人もいるかもしれませんが、今までの自分の仕事だけをしていれば良い立場から、チームを率いる立場になるときは不安なものです。そういう意味でも、「こういうことをしなくてはいけない。」という動機付けのためにもしっかり、教育を行いましょう。

目次

対象業種

労働安全衛生法施行令第19条で新任職長安全衛生教育を行わなくてはいけない業種が定められています。

  1. 建設業
  2. 製造業ただし
    • 繊維工業(紡績業及び染色整理業を除く。→対象)
    • 衣服その他の繊維製品製造業
    • 紙加工品製造業(セロフアン製造業を除く。→対象)
  3. 電気業
  4. ガス業
  5. 自動車整備業
  6. 機械修理業
  7. 食料品・たばこ製造業(2023年(令和5年)4月1日から追加)
  8. 新聞業、出版業、製本行および印刷加工業(2023年(令和5年)4月1日から追加)

比較的リスクの高い業種が対象になっています。

これらの業種以外の業種は、「やってはいけない」というわけではなく、安全衛生に関する知識を持った人が増えることは、労働者の安全衛生レベルの向上に役立つため、チーム全体の安全衛生意識の高揚に

教育内容(カリキュラム)

統括管理が必要になる建設業では、関連したカリキュラムが2時間多くあります。

教科時間
1.作業方法の決定及び労働者の配置に関すること
作業方法の定め方
労働者の適正な配置の方法
2時間
2.労働者に対する指導又は監督の方法に関すること
指導及び教育の方法
作業中における監督及び指示の方法
2.5時間
3.危険性又は有害性に関する調査及びその結果に基づき講ずる措置に関すること(リスクアセスメント
危険性又は有害性に関する調査の方法
危険性又は有害性に関する調査の結果に基づき講ずる措置
設備、作業等の具体的な改善の方法
4時間
4.異常時等における措置に関すること
異常時における措置

災害発生時における措置
1.5時間
5.その他監督者として行うべき労働災害防止活動に関すること
作業にかかる設備及び作業場所の保守管理の方法
労働災害防止についての関心の保持及び労働者の創意工夫を引き出す方法
2時間
6.安全衛生責任者の職務等(建設業)
安全衛生責任者の役割
安全衛生責任者の心構え
労働安全衛生関係法令等の関係条項
1時間
7.統括安全衛生管理の進め方(建設業)
安全施工サイクル
安全工程打合せの進め方
1時間

カリキュラムは厚生労働省の通達(平成18年5月12日第0512004号)で定められています。

講習の実施者

職長安全衛生教育は、自社にRST新CFT(コフト)を修了した方がいれば、社内で行うことも可能です。ただ、教育の需要があまり頻繁にない場合などは、わざわざそういった人材を雇用していることは少ないため、外部で講習を行っている機関を活用する方法もあります。

建設業で社内で職長安全衛生教育を行う場合は、RSTの建設コースの修了者又は新CFTの修了者が実施しましょう。

グーグルなどで「職長安全衛生教育」と検索をするといろいろな会社が出てきます。中にはZOOMやteamsなどを活用したサービスもあります。

演習も適宜織り交ぜて実施することが求められているため、自社の事業などを踏まえて選択してください。

ICT技術が発達してきてはいるものの、リモートツールはタイムラグがあり、相互にそれなりのコツが必要になります。一般的なコミュニケーションよりも、意志疎通がしにくいのはこのためですが、学習効果にもいくらかの影響はあると考えられます。労働災害のリスクが高めの業種は、対面での受講がお勧めです。

受講料

いろいろな場所でやっている職長安全衛生教育ですが、料金設定も割とばらつきがあります。

18,000~25,000円/人程度です。

その他

ちなみに、私もRSTを持っていますので建設業以外であれば、安全衛生教育を行うことが出来ますので、ご用命いただければと思います。次年度第一四半期くらいをめどに統括管理に関する講習も受講予定のため、それ以後は、建設業でも実施可能です。
が、このページのタイトルをご覧いただけるとわかりますが、週末祝日夜間の労働安全コンサルタント事務所です。皆さんもお休みの時に講習となると労働基準法上、時間外手当や休日手当などが必要になりますので、都合が合えばといったところです。

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