効率化と手抜き

世知辛い世の中なので何でも効率ばかりを追い求めていますが、無駄をしている余裕もないので必然的に効率化にも取り組まなくてはいけないことも多いと思います。同じように楽をするためにやることと言えば、「手抜き」もあります。その違いは何でしょうか?

目次

効率化と手抜きの違い

効率化と手抜きは、共に省力化するという意味では違いはありません。楽になります。

考えるポイントは、2つあります。

1つ目は、省いたり変えたりすることでどれだけ楽になったか。

もう1つは、それによって得られる結果の変化とその変化の程度です。

2つの組み合わせで、効率化か手抜きかが決まります。

例えば、料理で下ごしらえの一部を省いたとします。味にあまり影響がなかったり、少し美味しくなくなる程度なら、効率化です。不味くて食べられなくなってしまったら、手抜きです。品質と省力化の程度とのバランスで決まります。つまり、明確な線引きは、困難と言えます。

手抜き効率化の判断

災害や事故の調査をしていると、手順の省略が発端になっているケースが多くあります。

意図せず省略した場合は別ですが、こういったケースでは、省略した本人は、結果に影響の無い無駄な作業を省いただけであって、効率化するためだったと考えています。ただ、結果的に災害や事故に至っているため、品質が圧倒的に低下してしまうので、完全に手抜きとして扱われます。

実際の仕事では、品質(価値)の変化の程度も省力化の程度もお金に換算して、そのバランスを検討して判断される場合が多くあります。品質の変化の程度を省力化の程度が上回れば、効率化です。

個人の場合はそこまでやることはなく、共に感覚で判断しているのではないでしょうか。この時の判断基準は、品質の低下を受け入れられるかが基準になります。

これを踏まえると、以下のような条件が成り立てば、効率化です。

品質の低下の程度 ≦ 省力化の程度

かつ

品質の低下の程度が受け入れられるレベル

この受け入れられるか否かは、個人でも異なりますし、組織によっても異なります。

極端な話ではありますが、例えば、施工会社で「一人や二人くらいケガをしたって平気です。」というところがあったとしたら、効率化の範囲が非常に広くなることは想像できます。常識的に考えにくいことではありますが、

VE、CD

建設業界の方はVE、CDはよく聞く言葉だと思います。それぞれバリューエンジニアリングとコストダウンの略です。

バリューエンジニアリングは、コストと効用を比較して、以下のような改善をさします。

①効用が大きく上がって、コストが同じか少し上がる

②効用が同じで、コストが下がる

③効用が少し下がって、コストが大幅に下がる

その中で②と③をコストダウンとしてVEと分けて呼ぶことがあります。

この考え方は、効率化と手抜きの関係によく似ています。効用(品質)は大幅に下がらないようにして、改善案を考えます。

ここで考えたいのは、改善案をどうやって実行するかです。

改善案は、効用とコストをしっかり比較検討して、発注者に提案をし、そこで了承を得て実施します。

効率化も同じです。

思い付きでその場で行動にうつしてしまうと手抜きになってしまうリスクを見つけられないことがあるため、思い付いたら、しっかり検討して、組織や個人で受け入れられる状態にできるか否かを判断して実施します。

特に工事などでは、災害や事故に結び付く可能性があるため、絶対にやめてください。良いアイデアを思い付いたら、仲間や上司などと相談してから実行にうつせば、より良いアイデアに昇華させられることもあります。

また、運良く災害や事故に至らない場合は、ファインプレーとして扱われることもありますが、本当に良かったかどうかは、事後にでも確認・検討すると本当の効率化のヒントが見つけられるかもしれません。

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